代表インタビュー
大学サークルを母体として2000年に法人化したトモノカイ。
「教育を変えたい」と集まったメンバーの中でもひときわ活動に情熱を注ぎ、法人化の際もまっさきに手を挙げたのが現代表の徳岡です。
「学びで人生が変わった」と語る徳岡に、教育にかける思いや原体験、トモノカイで成し遂げたいことを聞きました。
「学びで自分の世界が広がる」自身が感じた教育の価値
――学生サークルから法人化した経緯を教えてください。
大学1年生のときに入会したサークルは、当時設立7年目。教育に課題意識をもった人たちが集まり、自分たちで家庭教師のサービスを運営していたんです。
活動にやりがいを感じつつも、サークルの範囲内では必要なサービスを届け切れない物足りなさも覚えるようになって。大学2年生の春に私が代表となり、法人化に踏み切りました。
――会社を設立しようと思ったいちばんの理由は何でしたか?
教育を軸にして、世の中やお客様にきちんと向き合いたいと思ったからですね。
現役大学生の目線から教育をよりよくしていきたい、変えていきたいという志があった一方で、サークル活動だとメンバーのモチベーションやコミット具合もまちまちでした。そこで、起業に興味があるメンバーたちと、会社として徹底的にやろうと決めたんです。
――なぜ、教育に対してそこまで強い思い入れがあったのでしょうか。
私自身が「学び」で人生の可能性が拓けたと感じているからです。小さいころは勉強がとにかく苦手で、運動もあまりできませんでした。「俺の人生って何なんだろう」と悩み、将来に希望がもてずにいましたね。
ところが、ある日サイエンスの本を読んで「世の中ってこんなに面白いのか!」と衝撃を受けたんです。
人体の神秘や地球の仕組みに比べて、自分が抱える悩みはなんて小さいんだろうと。その後、社会や経済の分野にも興味がわいて、どんどん世界が広がっていきましたね。この経験がなければ、教育事業を経営することもなかっただろうと思います。
勉強が苦手だった時期は、ずっと自分の出来の悪さに落ち込んだり「レースに負けてしまった」という劣等感を抱えたりしていました。けれど、学びによって自分の世界をいくらでも広げていける可能性を知り、未来の教育を変えていきたいと思ったんです。
組織の成長に反してメンバー内での不和が勃発。立て直しのきっかけも学びから
――2000年の設立以来、業績が順調に伸びています。組織を成長させていく中で、苦労はありましたか?
設立して5~6年が経ったころ、社内の雰囲気が非常に悪くなってしまった時期がありました。全員、働いていて全く楽しそうではなく、社員の入れ替わりも激しくなってしまって…。
サークル時代からのメンバーに加えて、外部から新しい人材も迎えるようになったタイミング。組織が大きくなるにつれ、社内の目線をうまく合わせられなかったんだと思います。
――具体的な要因は何だったのでしょう。
事業の方針を自分ひとりで決めることが多く「教育を変えていきたい」という思いをメンバーにしっかり伝えられていなかったことが最大の反省点です。
トモノカイは今でこそ、一人ひとりが経営者視点をもち意思決定していけるティール組織に近くなっています。
しかし当時は、メンバーの多くが「自分たちは何をしにここに集まっているのか」と戸惑っていましたし、私自身もうまくいかないことにイライラしていました。
――厳しい状況の中、どのように行動したのでしょうか?
改善のきっかけも、やはり「学び」からだったんです。京セラの稲盛さんやリクルートの江副さんなど、著名な経営者の本をとにかく読み漁りましたね。
経営を一から学び直してたどり着いたのは「そもそも自分はどのような組織をつくりたいのか」という問いでした。
今までも企業理念は掲げていたけれど、きれいごとを並べただけで魂が込められていなかった。これでは社内の目線が揃わなくても無理もないと、やっと分かったんです。
そこでまずは、企業理念を刷新することに。これは現在のミッション(使命)とコアバリュー(共通の価値観)にもつながっています。
ミッション
人を豊かにすること、社会を豊かにすることという教育の原点にもどり、世界の状況にあわせた教育の再設計のため、事業を創出し、挑戦し、世界中の人を巻き込み、そして、次の時代を創り上げる人材を輩出する
コアバリュー
・誠実:相手に、そして自分自身に誠実であること
・価値追求:常にその価値は何かと問い続けること
・成長:自分、そして他者の成長に対し真摯に取り組むこと
――企業理念の見直しにより、よい変化はありましたか?
大きく変化があったのは、採用の面ですね。最初は、応募者の方のスキルばかり注目していました。しかし、どんなに実力がある方でも、企業理念との合致感がなければお互いによい関係にはなれません。
「企業理念に心から共感してくれているか」を重視するようになってからは、社内でイキイキと働ける人がぐんと増えましたし、業績向上にもつながりました。
現場からの地道な積み重ねで、教育にダイナミックな変革を
――トモノカイは幅広い事業を展開しています。特に注力している領域を教えてください。
「放課後支援」の事業です。生徒さんの自習支援や先生方の負担を軽くするサポートなど、学校様の抱える課題に応じて様々なかたちで取り組んでいます。
これまで学校とは「聖域」であり、民間企業の介在は避けられてきました。その名残か、今でもプログラムの導入挨拶に伺うと、現場の方々から「民間企業に教育支援を任せて本当に大丈夫?」と心配されることも少なくありません。
――そのような状況で、現場の方々にどのような働きかけをするのでしょうか?
「あなたたちのやり方を変えます」と否定から入るのではなく、現場の声にしっかり耳を傾けることを意識しています。
学校の先生方に話を聞いてみると「生徒を愛しているからこその不安」なのだと知ることができました。道半ばではありますが、真摯に向き合うことで次第に受け入れてもらえるようになりましたね。
生徒さんの成長を第一に考え、地道に支援していった結果、嬉しい声をいただくことも増えました。
例えば、希望する高校へ進学できず、社会からも親からも期待されていないと諦めてしまっていた生徒さん。ところが、放課後支援を通じて「自分のことをこんなに信じてくれる人に初めて会えた」と心を開いてくれるようになったんです。
毎年この高校からインターンを受け入れている企業様にも「生徒の意欲や姿勢が、今までと全く違う」と評価をいただけました。
――自分の可能性を信じてもらえる存在がいることは、励みになりますよね。
「可能性を信じる」ことは、生徒さんと向き合う第一歩だと思います。また私たちの取り組みの効果を実感してもらえたことで、先生方もイキイキと学習プログラムへのアイデアを出してくれるようになりました。
「効率や利益だけを重視せず、生徒とちゃんと向き合ってくれる」と、いち民間企業ではなくトモノカイとして認知していただける場面が増えたと感じています。現場での地道な積み重ねから、着実に大きな変化へと昇華させていけるのが、トモノカイの強みですね。
――最後に、トモノカイで働く楽しさをぜひ教えてください。
企業理念である「教育の再設計」に共感していただける方には、絶対に面白い環境だと思います。また子どもたちの成長を支援する立場だからこそ、常に自分自身の成長心も問われ続けます。
「教育を変えたい」と内に秘める炎をもつ方と、学校でも塾でもない唯一無二のポジションで一緒に未来をつくっていきたいですね。